【セミナーレポート】Care Show Japan2026に登壇、現場と当事者の視点から次世代ケアの可能性を提言

2026-03-26
Care Show Japan1
執行役員の原さん

2026年2月26日、東京ビッグサイトにて「Care Show Japan2026」が開催されました。このイベントは介護や医療、ヘルスケアに関連するBtoB展示会で、その中のセミナープログラムに執行役員の原さんが登壇しました。
この記事では、講演内容のポイントを詳しくご紹介します。

※企業が企業に対して商品やサービスを提供する企業間取引のこと

テーマは「保険外サービスが拓く次世代ケア~介護事業者の新たな挑戦~」

ツクイに30年勤務し、現在進行形で親の介護に向き合う原さん。そんな原さんが自らの視点で、保険外サービスが介護業界の未来を切り開く可能性について語りました。特に「地域の生活支援インフラとなること」「価値化されていないケアの可視化」「誰も取り残されない支援体制の構築」の3つを強調し、以下の内容を語りました。

コロナ禍以降の介護事業者の課題
コロナ禍以降、介護事業者の倒産件数は増加しています。
その要因として「深刻な人材不足と賃金格差の拡大」「新型コロナウイルス関連支援の終了と返済開始による資金繰りの悪化」「物価高騰と訪問介護の基本報酬引き下げを含む介護報酬改定」が挙げられます。
コロナ禍で「利用控え」という現象が起き、特にデイサービスに大きな影響を与えました。この出来事から「介護事業は地域の生活インフラとして十分に認識されているか」という疑問が生じました。介護保険制度だけでは支えきれない現実が浮き彫りとなり、利用者の価値観が多様化する中、柔軟なサービス設計が求められています。

❷シャドーワーク問題と保険外サービスの可能性
ケアマネジャーが担うシャドーワークが発生していることも大きな問題です。シャドーワークとは、公式な業務として報酬の対象にならないものの、現場では必要とされる業務が発生していることをいいます。
ツクイが長崎県で行った実証実験では、薬の受け取りや病院の送迎と付き添いなど、ケアマネジャーが行っていた業務をデイサービスのスタッフが担いました。その結果、薬の受け取りと配達で90分、病院付き添いで120分、ケアマネジャーの業務時間を削減できました。
一方で、費用がかかることへのお客様の抵抗感、スタッフの集団ケアから個別ケアへの意識転換、人員の確保といった課題も明らかになり、保険外サービスの普及には、現場と利用者双方の意識変革が必要だということが分かりました。

 
 

➌仕事と介護の両立支援サービス
ツクイグループでは、約4,000人の従業員を対象とした家族介護の実態調査を行いました。その中で介護者が最も負担に感じていることは「通院の同行」と「親とのコミュニケーション、意思疎通」であることが分かりました。これは世代を問わず共通する傾向です。
原さん自身も、親の介護が始まったときに退職を考えた経験があります。しかし、第三者の支援を受け入れたことで仕事を継続できました。その経験をもとに開発されたのが、「よりそいコンシェル」という仕事と介護の両立支援サービスです。
これは、介護をする人が孤立せず、仕事をあきらめないための仕組みづくりで、企業にとっても重要な経営課題となりつつあります。

❹テーマ4:保険外サービスが切り開く次世代ケア
これからは「健康寿命」だけでなく、「幸福寿命」を延ばす視点が重要となります。そのためには、自分らしく生きるための選択肢を提供する仕組みと、介護をする側と受ける側両方を支える仕組み、そして介護リテラシーの向上が欠かせません。
介護事業者が地域の生活支援インフラとなり、価値化されていないケアを可視化し、誰も取り残さない支援体制を築くことが次世代ケアの鍵となります。保険外サービスは、その実現に向けた大きな一歩です。

このように介護保険サービスだけでは支えきれない時代において、新たな選択肢を提示していくことが介護の未来を左右します。現場の経験と家族介護の当事者としての実感から生まれた提案は、業界の可能性を広げる具体的なヒントにつながります。

 

家族に背中を押され、ともに歩んだ講演

実は原さんのお父様は、登壇の数日前から容体が変化し、予断を許さない状況にありました。登壇を迷っていた原さんでしたが、お父様の容体が一時的に持ち直したことで、「『頑張ってこい』と背中を押されたように感じた」といいます。
当日も、保険外サービスを活用しながら会場へ向かい、介護と仕事を両立し続けるその姿勢と、家族への思いを胸に語った講演は、聴講者の心に深く響きました。
そして登壇から3日後、お父様はご自宅で家族に見守られながら静かに旅立たれました。
ビジネスケアラーとして最期まで寄り添った原さんの言葉が力強い説得力を持つのは、「誰かの人生を本気で支えたい」という思いがあるからです。その原点には、かけがえのないご家族の存在がありました。
これからも保険外サービスはさらに前へ。現場と社会をつなぐ挑戦は、これからも続いていきます。

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<取材>総務部広報課 吉﨑