第4回日本老年療法学会学術集会にて、ツクイの大規模データ研究を発表
2025年12月6日、7日に一橋大学一橋講堂(東京都)にて開催された「第4回日本老年療法学会学術集会」に、コーポレート推進本部の林さんと営業推進本部の波戸さんが参加しました。

写真右:林さん(理学療法士・社会福祉士・介護支援専門員・リハビリテーション学修士)
ADL維持・改善につながる「生活動作の練習」/コーポレート推進本部 林さん
コーポレート推進本部の林さんは、自己研鑽(けんさん)の一環として全国のデイサービスを利用するお客様11,665名を対象に、高齢者のADL(食事・移動・排泄(はいせつ)などの日常生活動作)と機能訓練プログラムの関係を分析した大規模研究を実施し、学会で発表しました。
近年、要介護高齢者は比較的短期間でもADLが低下しやすいことが指摘されており、その予防は現場における重要テーマの一つです。今回の研究で「機能訓練の内容の違いがADLの経過とどのように関連しているのか」をデータで整理することで、機能訓練の質の向上に役立つ内容となりました。
研究概要
対象は、ツクイのデイサービスを利用された要支援・要介護高齢者11,665名。
2年間にわたり、6か月ごとにADL評価を測定し、以下の3つのパターンとADLの変化を分析しました。
- 機能訓練なし
- 運動プログラムのみ
- 運動プログラム+ADL練習(生活動作の練習)
「運動プログラム+ADL練習」が示す、ADL維持・改善の可能性
運動プログラムとADL練習を組み合わせた機能訓練は、ADLの維持・改善と関連していることが判明しました。とくに、中等度~重度のADL障害があるお客様において、その関連が明確でした。その理由として次の2点が示されています。
① 練習した動作がうまくなるという運動学習の原則(タスク特異性)
筋トレなどの運動は、身体機能の維持・向上にとって重要ですが、日常生活動作(例:立ち上がり)が自動的に上達するとは限りません。
歩行動作を改善したい場合は歩行練習、トイレ動作を改善したい場合はトイレ動作練習というように、動作そのものを練習することで、より実生活に結びつきやすくなると考えられます。
② 自己効力感(できた!という手応え)が高まりやすい
筋力がついても、ご本人が「できるようになった」と実感できないと実生活の改善につながりづらい。
ADL練習は「成功体験」を作りやすく、意欲にもつながると考えられます。
重度化のサインをデータで読み解く/営業推進本部 波戸さん
営業推進本部の波戸さんは、科学的介護情報システム「LIFE」の最新版データを用いて、軽度要介護者と中重度要介護者それぞれにおける重度化につながる要因の違いを分析し、その成果を発表しました。
LIFEは2024年度のアップデートで、全国平均との比較機能などが強化されました。しかし一方で「どの項目が重度化に結びつくのか」「結果をケアにどう応用するか」は現場スタッフに委ねられており、十分に活用できていないという課題があります。本研究は、LIFEをより活用可能なデータにするための大きな一歩となる内容です。
研究概要
対象は、ツクイのデイサービスを利用する要介護1~4の高齢者26,893名。
2024年4~6月の状態を基点に、6か月後に要介護度がどう変化したかを追跡しました。
LIFEの必須評価項目(移乗・歩行などのADL、認知機能、BMI、口腔(こうくう)状態など)を用いて、重度化との関係を統計的に分析しています。
6か月後の重度化率
- 軽度(要介護1・2):18,016名中、1,813名(10.1%)
- 中重度(要介護3・4):8,877名中、489名(5.5%)
軽度のほうが重度化率が高く、「軽度だから安心」ではないことが示されました。
研究でわかったこと
① 軽度(要介護1・2):小さなADLの変化が重度化のサイン
特に以下が関連しました。軽度の方ほど、日常生活のわずかな変化を早期に捉えることが重要です。
- 移乗、歩行、トイレ動作、入浴、更衣などのADL低下
- BMIの低下(栄養状態)
- 認知機能の一部低下(服薬管理・レビー小体病(レビー小体型認知症)など)
② 中重度(要介護3・4):口腔(こうくう)状態の重度化と強く関連
以下が関連しました。中重度の方については、口腔(こうくう)ケアが重度化予防に直結する可能性が示されました。
- 移乗・歩行の低下
- 歯の汚れ、歯肉の腫れ・出血などの口腔(こうくう)状態の悪化
今回の2つの研究は、全国にデイサービスを展開し、日々のケアデータを蓄積してきたツクイだからこそ実施できた、大規模かつ実践的な分析です。
一人ひとりの変化を見逃さないための知見をデータとして可視化し、現場でのケアの品質向上につなげていく。こうした取り組みが、これからの「科学的介護」を形作り、より多くのお客様の暮らしを支える力となっていきます。
<取材>
総務部広報課 吉澤
