【ツクイ川間】101歳の笑顔と新たな体験が生まれる場所 「通うのが楽しみになる」デイサービスの工夫
101歳の誕生日会を開催!
2025年10月、ツクイ川間(千葉県)に通われているお客様の長(おさ)様は101歳を迎えられ、事業所では誕生日会が開催されました。
マネジャーの江藤さんは、当日の様子をこう振り返ります。
「長様にお渡しした寄せ書きには、スタッフのほか、ケアマネジャーや長様が入居されているサービス付き高齢者向け住宅の施設長にもご参加いただき、多くの方々からお祝いの言葉が寄せられました。また、今年6月に101歳を迎えられた別のお客様からもメッセージが贈られ、長寿を喜び合う温かい空気に包まれました。長様は照れ笑いを浮かべながらもうれしそうで、こちらも幸せな気持ちになりました」


環境が変わっても、前向きに通い続けられる場所
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長様は小学校時代に級長を務め、同級生から一目置かれる存在だったとのこと。学校卒業後は林業や農業に従事し、趣味である将棋の腕前も今なお健在です。体調が良ければ、同じ日に通われているお客様と対局されることも。また、口癖は「ありがとうなぁ」で、それを抑揚たっぷりにおっしゃるそうです。
そんな長様は、2025年に入り、ご自宅から近隣のサービス付き高齢者向け住宅に転居されました。新しい環境でも、ご自身のペースを大切にしながら、生活の一部としてツクイ川間で過ごす時間を楽しみに通われています。
生活相談員の長谷川さんは、転居時の長様について、こう振り返ります。
「長様は長く住み慣れたご自宅で過ごされていたため、転居には不安もあったと思います。しかし、『自宅では布団で寝ていたけど、今回初めてベッドで寝ました』という話をされるなど、少しずつ新しい環境を受け入れ、前向きに過ごされている様子が伝わってきました」
また、グループマネジャーの壱岐さんは、こう語ります。
「ご自宅を離れてからも、長様がツクイ川間に通い続けてくださっているのは、ここにはこれまで関わってきたスタッフや顔なじみのお客様がいて、『見たことがある』『話したことがある』『ここに来ると安心できる』と思える存在が、心のよりどころになっているからではないかと思います。また、スタッフにとっても、101年の人生でさまざまなサービスに触れてこられた長様から『ここに通いたい』と思っていただけることは誇らしいことです。その期待に応え、さらにそれを上回るサービスを提供していきたいです」
「年齢を重ねる楽しみ」がある場所へ
ツクイ川間では、今回の誕生日会のように、年齢を重ねても新しい発見や経験を楽しめる機会づくりを大切にしています。お客様の思い出や生きがいにつながることを意識し、さまざまな取り組みを行っています。
江藤さんは、この取り組みについて、こう語ります。
「長様が生活の中で初めてベッドで眠られたというお話もありましたが、私たちは日々の関わりやサービスを通じて、『初めて』を感じていただけるような体験を提供したいと考えています。先日は、透明なしょうゆをお客様に召し上がっていただき、『面白いね!』と喜んでいただけました。新しい体験を提供することで生活に新鮮さが生まれ、人生がより楽しくなるのではと感じています。
また、こうした取り組みを考えるうえで、改めて根本に立ち返ることもあります。お客様をより深く理解するために大事にしている視点は『私たちは長生きをまだ経験していない』ということです。介護は、未経験者が経験者にサービスを提供する特異な事業です。スタッフはまだ知識や経験が十分ではないことを意識し、お客様から学ぶ姿勢を持つことで、お客様に寄り添ったサービスを届けられると考えています」
また、壱岐さんは、こんな思いを語っています。
「新しい体験を企画する際は、分かりやすく思い出に残ることを意識しています。例えば、外出先なら大仏や高層ビルなど訪れた瞬間に印象に残る場所を選びます。食事イベントでも、安全に配慮しながら、キムチやもつ鍋などいつもの食事と少し違う楽しさを提供しています。
今回、長様は、先に101歳を迎えられたお客様から『長寿のバトン』を受け取りました。この光景は、お客様にとってもスタッフにとっても新鮮で、『長く生きること』が喜びとして実感できる瞬間でした。
『今日はなんか違うね!』とワクワクすることをご家族との話題にしていただいたり、提供するスタッフも一緒に盛り上がったりすることで、より深く思い出として残ると感じています。お客様とスタッフが一緒に楽しむ空間こそが、満足につながるのだと思います」
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「通う楽しみ」が育む、前向きな日常
今回の取材を通して、誕生日会のような特別なイベントや日常のちょっとした体験、そしてそこで生まれるお客様同士やスタッフとの交流が「通うのが楽しみになる時間」を生み出し、事業所がお客様にとって「ワクワクできる居場所」になっていることを感じました。そうした積み重ねが、お客様が日々を前向きに過ごす気持ちにつながっている──そんなことを実感できた取材でした。
<取材>
総務部広報課 登山
