【居住系サービス】事例発表会2025を開催しました

2025-11-13

2025年10月16日、東京都港区のユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて、「居住系サービス事例発表会2025」が開催されました。会場には250名を超える来場者が集まり、オンライン配信とのハイブリッド型で行われました。

ツクイでは、居住系サービスにおける日々の取り組みを社内で共有するとともに、関係企業の皆様にもご覧いただく機会として、事例発表会を開催しています。今年のテーマは「Story of Life」。お客様それぞれの思いに寄り添った支援や取り組みを共有し、より良いサービスのあり方を共に考える機会として企画されました。映画館という特別な空間での開催は、発表内容をよりドラマチックに演出し、参加者の心に深く残る発表会となりました。

今回は初めて、包括的業務提携を締結している株式会社SOYOKAZEから1施設がエントリー。
両社の実践を共有し合うことで、互いに学びを深め、今後のサービスに取り入れていける貴重な機会となりました。

会場の様子
会場の様子
映画館の迫力あるスクリーンで発表が行われました
映画館の迫力あるスクリーンで発表が行われました

表彰結果

全国各地の予選を勝ち抜いた6施設が登壇。1組10分の持ち時間で発表を行い、来場者による投票で順位が決定されました。
表彰結果は以下の通りです。

<最優秀賞>
ツクイ・サンシャイン西馬込

<優秀賞>
ケアヴィレッジ美乃里(SOYOKAZE)

<3位>
ツクイ・サンシャイン相模原

<入賞> 
ツクイ・ののあおやま
ツクイ・サンシャイン新倉敷
ツクイ・サンシャイン札幌山鼻

最優秀賞:ツクイ・サンシャイン西馬込「日々は穏やかに、旅立ちは静かに」

ツクイ・サンシャイン西馬込の霜鳥さんが発表したのは、とあるお客様の6年間の暮らしを振り返る、静かで温かな物語でした。

そのお客様は、施設のオープン当初に認知症の妹様とともに入居されました。霜鳥さんも同じくオープン当初から勤務しており、「入居当初は耳が遠いことに不安を感じられていましたが、私たちの声掛けに安心してくださったことを今でも覚えています。認知症の妹様のことを『見守っていてくださいね』と任せてくださったのが心に残っています」と当時を振り返ります。

90代になっても「私の知らない世界を知るのが楽しみ」と語っていたお客様。壁画飾りの制作活動をきっかけに交流が生まれ、施設の仲間たちと「ここが難しくて大変だけど、もう少しでできあがるの」と楽しそうに話しながら、趣味のものづくりに黙々と取り組む姿が印象的だったそうです。居室に戻っても眠くなるまで作品づくりを続け、完成した作品は、妹様やご友人、スタッフに大切に届けられました。また、隣接する保育園の子どもたちにもプレゼントされ、やがてお礼の手紙が届くなど、思いやりの連鎖が広がっていきました。

そして旅立ちのとき――。
ご家族をはじめ、長年関わってきたスタッフや施設の仲間たち、そして認知症が進行していた妹様も、少しずつその別れを受け入れていきました。
施設では、お客様とご家族の希望に寄り添う形で「施設葬」という新たな取り組みを実施。お客様がこの場所を「我が家」のように感じてくださっていたこと、そしてスタッフへの深い信頼があったことが、施設葬の実現につながったと霜鳥さんは語ります。

発表の最後には、「人生の最終章においても、その人らしさを大切にする。それが、私たちが目指す暮らしです」と締めくくられました。ツクイ・サンシャイン西馬込ではこの思いを受け継ぎ、「悠々自適」をスローガンに掲げることを決定しています。

お客様からいただいた折り紙の花束とともに発表する霜鳥さん
お客様からいただいた折り紙の花束とともに発表する霜鳥さん
最優秀賞受賞の様子 高畠社長を囲む霜鳥さん(写真左)と施設長の伊澤さん(写真右)
最優秀賞受賞の様子 高畠社長を囲む霜鳥さん(写真左)と施設長の伊澤さん(写真右)

「悠々自適」の暮らしを目指して 伊澤さんと霜鳥さんからのコメント

霜鳥さん

今回の発表を通してあらためて感じたのは「暮らしの積み重ねこそが、その方の人生そのものである」ということです。
発表でご紹介したお客様がツクイ・サンシャイン西馬込で過ごされた日々は、特別な出来事が多かったわけではありません。好きなことを楽しみ、お仲間と笑い合い、時には誰かを思って贈り物をする。そんな穏やかな時間の連なりでした。
その終着点として執り行った施設葬では、ご家族と施設でできたご友人が手を取り合い、思い出を語り合う姿がとても印象的で、これからも忘れることはないと思います。
「悠々自適」というスローガンには「自分らしく、心ゆくままに生きられる場所」という思いを込めました。
私たちが大切にしたいのは、お客様お一人おひとりがご入居以降も、むしろこれまで以上にご自分の人生を自由に楽しめるよう寄り添うことです。続けてこられた習慣や大切にされてきたことを一緒に守りながら、最期のときまでご自分らしく過ごせるよう、これからも皆様の思いに耳を傾けながら、スタッフ一同であたたかく寄り添ってまいります。

施設長・伊澤さん

今回の施設葬を通じて「ツクイ・サンシャイン西馬込らしさ」とは何かをあらためて深く考える機会となりました。
それは、お客様お一人おひとりの生活に寄り添い、「自分らしく暮らす」ことを支える姿勢です。スタッフ全員が関わる体制の中で、日々の小さな変化にも気づき、柔軟に対応する。その積み重ねが、施設を「家」と感じていただける理由なのだと実感しました。
スタッフは単なる介護者ではなく、お客様の人生に寄り添う伴走者だと思っています。
「何をしてあげるか」ではなく、「どうすればその方らしい生活を支えられるか」を常に考え、情報を共有しながら関わり方を調整しています。その姿勢が、「ここで最期を迎えたい」と思っていただける信頼につながっているのだと感じています。
「悠々自適」のスローガンには、心も体も健やかに、自由に、自分らしく暮らしてほしいという願いも込められています。
その実現のためには、心と身体の健康が欠かせません。日々の暮らしの中に自然と健康が育まれるようなプログラムを提供し、健康と自由のバランスを保つ支援をしています。
その先にある「理想の暮らし」は、私たちが決めるものではなく、お客様自身がつくるもの。
私たちはお客様お一人おひとりの暮らしの伴走者として、これからもさりげなく寄り添っていきたいと思います。


<取材>
総務部広報課 吉澤